知っておきたい待遇の違い

パートタイム・有期雇用労働法とは

2017年ごろから働き方改革がにわかに注目され、政府や企業がさまざまな取り組みを行ってきました。
2020年4月1日からは「パートタイム・有期雇用労働法」も施行されました。

職務内容(業務の内容と責任の程度)ならびに職務内容や配置の変更範囲において、正社員と非正規社員の待遇に差別的な取り扱いがあってはならないと定められている法です。
これにより、正社員と非正規社員の待遇の格差について改善が目指されています。

正社員と非正規社員の待遇差について

具体的に言えば、例えば正社員と非正規社員の職務内容が2:1の割合である場合、正社員の賃金が20万円で非正規社員のほうが10万円なら、合理的な待遇差とみなされます。
ところが、同様に非正規社員が正社員の半分の職務内容をこなしているにもかかわらず3分の1の賃金しかもらっていない場合には、不合理な待遇差があるということで、企業側の法律違反とみなされてしまいます。
職務内容が全く同じなのに正社員が20万円の賃金、非正規社員の賃金が10万円のケースも、明らかな法律違反とみなされます。

このように、均衡待遇・均等待遇規定が盛り込まれたのがパートタイム・有期雇用労働法の特徴です。
とはいえ、両者の待遇が全く同じでは、正社員と非正規社員を分ける必要性そのものに意味がなくなってきます。
この点に着目して作成されたのが「同一労働同一賃金ガイドライン」と呼ばれるものです。

このガイドラインでは、どのような待遇差が不合理なのか、あるいは合理的なものなのかについて、原則となる考え方と具体例が詳しく示されています。
労働厚生省のホームページに掲載されていますので、自分が働いている職場の待遇に疑問がある場合には、読んでみて確認をするといいでしょう。

ガイドラインで通勤手当の項目などを詳しくチェック

ガイドラインには通勤手当に関しても詳しい具体例が示されていますので、大変参考になります。
たとえ正社員と非正規社員の違いがあっても、同じ通勤経路を使っていれば両者とも当然同額の交通費がかかります。
ですから、正社員と非正規社員との間で同一の金額を支給しなければならないとガイドラインには示されています。
ただし、正社員には1ヶ月分の定期代に相当する額を支給しても、非正規社員の労働日数が正社員の半分程度の場合には、出勤日の往復交通費に相当する額を支給するのが妥当とされています。

同じ仕事をしているのに、なぜ正社員と給与や手当の内容が違うのか?と非正規社員が疑問に思った際、企業側が合理的な説明をできない場合は法律違反となります。
この職務内容に関しては現場の微細な違いもありますので、疑問がある場合には総合労働相談コーナーなどに質問してみるのがおすすめです。